JAXA他と共同開発した光学式分光偏光計測装置 (特開2008-191144)

レーザ光源とバンドパスフィルタは1種類(交換可能)、偏光角度は回転式の偏光板をモーターで動かすことによって変更できます。
対物レンズは、望遠あるいは広角に変更できます。JAXA保有のランドクルーザーの後部梯子やレンタカーの荷室で三脚へ取り付けて路面モニタリングシステム開発の各種フィールド実験に使用されました。

ハードウェア構成
システムの概要
同一の識別対象を複数波長の光源(例えば2種類)で照射し、複数偏光角(例えば3種類)のフィルタを通して撮像した画像に基づいて識別対象の状況を判別する画像解析システムです。判別は、識別対象の状況ごとにあらかじめ作成しておいた教師データとの統計的分類解析(クラスタリング)によって行われます。
適用分野としては、鋼橋保全分野における塗装皮膜の劣化、錆腐食の進行、コンクリートの中性化や亀裂状況等、画像解析を行うことによる損傷度の判別が挙げられます。
光源としては、識別対象の環境による外乱を排除するためにレーザやLEDの使用を想定しているが、識別対象によっては通常光を使用することも考えられます。
識別対象の特徴を正確に把握するために、複数の偏光角からなる偏光フィルタを使用して撮像した画像を比較することを想定しています。
適用対象 : 水質汚濁観測分野
近年、河口等の汽水部や内湾奥部では、海底付近に生じた貧酸素あるいは無酸素海水塊の海面への上昇を原因とする青潮(地域により呼称は異なる)の恒常的発生が魚や貝、藻類等の水生生物を死滅させ、漁業や養殖業へ甚大な被害をもたらしています。 青潮の発生による被害が大きい宍道湖や諫早湾、三河湾、東京湾等を抱える自治体や研究機関では、固定櫓あるいは船上から多目的水質計を定期的に垂下して、海中の状況を観測しています。 しかし、これらはスポット的な計測となるため、河口や内湾全体を対象とするためには、多くの観測点を設ける必要があります。 また、青潮が発生した時点では既に被害が顕在化しているため、貧酸素あるいは無酸素海水塊の発生状況およびその海中での移動状況を迅速に把握する必要があります。
適用対象 : 橋梁保全分野
本計測装置は、点検部位を撮像後、即座に結果が判明するため、点検漏れが生じることはありません。 ただし、車道や歩道、住居やオフィス等の居住地域との距離が近い場合、通交車輌や通行人、居住者の視界へ与える影響を考慮するとレーザ光は使用できず、可視域のLEDあるいは通常光を適用することになります。 しかし、夜間においては、太陽光による外乱の影響を受けないため、むしろ昼間よりも安定した撮像を得ることができると考えられます。事前の打ち合わせと確認に基づいて、携帯型のカメラにて鉄道事業者の敷地内で撮像された画像は、敷地外に駐車された点検車輌内等に据え付けられた解析装置へインターネットを介して伝送され、 即座に解析されて判定結果が画像とともに保存されます。点検箇所数に比して点検時間が短い場合は、複数台のカメラが使用され、1台の解析装置にて一括処理されます。
適用対象 : 路面状況観測分野
計測装置はステレオ方式として2組を車体上部あるいは下部へ設置します。観測対象としては、舗装の凹凸や亀裂、ひび割れ、ポットホール、橋梁伸縮装置の破損箇所等を想定しています。車輌の走行速度は、80km/h程度の高速走行を想定しています。 計測装置を点検車へ搭載する例を以下に示します。
路面へのレーザ照射方式を以下に示します。レーザ光源から照射されたレーザ光は、回転軸に取り付けたミラーを高速・高精度に回転して正確な位置決めと走査を行う光学スキャナ製品であるガルバノ機構によって、路面を円弧状に高速でスキャンします。 この時、ガルバノ機構から路面への距離が円弧状に変化するため、路面上の照射面は凹レンズ状となります。 この照射面の歪みは、ガルバノ機構の前面へ2次曲線非球面レンズを挿入することによって補正することができます。
カメラが斜めに取り付けられるため、撮像した画像は手前側と奥側の縮尺が異なる台形状となり、射影変換を施して正対視画像へ補正する必要があります。またステレオ立体視するために、車輌の前部あるいは後部の1組2台のカメラの画像が60%以上重複するようにカメラ位置を調整します。
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